ここ数年だけでも、歯科医療機器の進化も目覚ましく以前できなかった、あるいは期待しても得られなかった機器が現実に存在するようになったと感じます。
それらを導入することによって、ご来院いただく患者様に新しい治療法を体験していただきたく常々考えております。
実際にここ数年で導入した機器も多く、いくつか紹介させていただきたいと思います。
まず初めに、大きく進化したデジタル歯科修復機器である Cerec Primscanです。
2011年より導入していたCerec ACの進化版で、一枚一枚息を止めながら3D撮影していた物が、動画のように滑らかに3Dデータ構築されることにより、患者様がお口を長時間開け続ける困難を減らし、より精度が上がったと表現できます。
次に、歯石を取るときの振動、凍み、痛み、我々としても与えたくないのですが、歯石は固く取らないわけにはいきません。そこで導入したのが「ピエゾン」(2017~)と「メルサージュ
エピック 2in1」(2023~)となります。
パワーコントロールの幅を広くし、さらに深い部分のバイオフィルム(ガードされたばい菌の住みかと表現しましょうか…)に対するパウダーを用いた除去等、従来では痛みを伴いやすい部分の清掃をより優しくした機器となります。
主に歯科衛生士が使います。
それでも歯石の除去が苦手という患者様がいらっしゃいます。
理由の多くは歯石を取るためにピエゾ方式という方法で、金づちで石を砕くような動きの刺激を苦手にしている方です。
ピエゾ式はコンコン叩くように歯石を砕いています。
苦手な患者様にはマグネット式のキャビトロンを用います。
マグネット式は円を描きながら削り取るような動作のため、刺激はより少なくなりますが時間がかかる分お口をあいている時間と治療時間が長くなります。基本はピエゾ式となりますが、ご希望があればスタッフにお伝えください。
さらに、よくプラスティックで虫歯の修復をするときに光をあてられた経験があると思いますが、機器が大きかったり熱かったり…
こんな所も歯科界ではちゃんと進化しています。
よりコンパクトでありながら、効率を上げたスリムライトに更新しています。
歯に埋めるプラスティック(簡単な表現にしてあります)を作っている会社がそれを固めるために作っていますので、我々としても信頼して使用させていただいています。
根の治療を行うとき、私たちはいわゆるバイ菌と対決することとなります。
従来であれば、歯の中に殺菌剤を忍ばせ、患者様が生活しているうちに徐々にバイ菌が減ることを期待しているといえます。しかし、お薬に対して抵抗を示すバイ菌も存在することが困難につながり、患者様が残したい歯を失う原因へとつながることもあります。そこで、電気エネルギーの力でバイ菌を退治できればと考案された製品が「ルートZX3」です。
オープン時よりルートZXという機器を使っていましたのでその進化版です。これは、電気エネルギーを根の先に与えられるように進化し、その効率も上がることを期待されている機器となります。
根の治療と言われたら、基本的にこちらの新しい機械を使わせていただいております。ただし電気刺激に弱い患者様がいることも理解しておりますので、苦手な方は遠慮なく従来通りお伝えください。
根の治療の繋がりといえば、トライオートZX2+も導入しております。
歯の中の歯髄(簡易的には歯の神経)の処置はシャーペンの芯より細いトンネルの清掃となりますが、手で使う機器ではしなりが足りずこのような機器でしなる機材を使用して清掃することもあります。
今までは根の長さを測る機器、モーターの力で根の汚れたところを取る機器が別々でしたが、一体化させてコンパクトになり、さらに、その動作も複雑に対応させた機器となります。
人の感覚も非常に大事なこともあり、また機械の動力も大事なこともあり、それを合体させたような感覚で使用させております。
歯科治療は目が命です。(他にも腰とか思いやりとか、根気とか、あきらめない気持ちとか、今まで勉強してきたこととか、自分だったらどうされたいとか…)他を挙げたらキリがないのですが、目が大事です!
見たいところのピントが瞬時に合い、明瞭に敵と戦うことができる環境って大切なのです。
私は裸眼でも運転できるのですが、さらにピントを合わせるために細かな作業を要する時はViXion01を用いています。(スタッフも使用しております)
厳密には医療機器というより、スタッフがかけている眼鏡が普通じゃないという感覚でしょうか…
使っている側も普通の眼鏡とは思っていません。簡単に表現するならオートフォーカスのレンズが常に目の前にある感覚です。裸眼より精密な状況をと考えて導入しております。
新しいもの、といっても実は挙げればきりがないのですが、これを止めれば時代遅れになります。どの分野でも同じですね。今後とも進化し続ける意識、皆様とともに続けていきたいと思います。
ご安心頂きたい事は
保険診療での医療費とは機器加算がない限り 最新の機器を使ったか、従来の物を使ったかではなく、何の治療を行ったか?なので
新しい機器を用いても古い機器のままでも医療費に変化はございませんのでご安心ください。