抜歯

抜歯などの手術処置を受けられた患者様へ

 歯を抜いた後の傷口は、非常にデリケートです。傷口は、カサブタで覆われて、出血が止まり、いずれ肉になり、骨へと変化して治っていきます。しかし、皮膚のけがに出来るカサブタと違い、唾液が周りにあるために非常にやわらかく、弱いです。気になるからといって、吸ったり、つついたりしないように注意してください。抜いた後にガーゼを噛んで頂いておりますが、これは圧迫止血の目的です。通常30分ほどで充分ですが、気になるようであれば、さらに清潔なガーゼを噛んで下さい。ただし、クチャクチャ噛むと逆に出血を起こしますので、噛みしめるようにお願いいたします。血はもともと唾液に溶け易いので、ティッシュなどで唾液をぬぐうと多少の赤みがありますが心配ありません。出血が続いている場合は、透明性のない血の塊がいっぱい出ますので、そうでなければあまり刺激を加えないで下さい。長風呂や運動、飲酒は出血を誘発させます。心拍数や血圧の上がることは避けるようお願いいたします。

 また、お口の中にはもともと多くのばい菌が住んでいます。したがって傷口にばい菌が入ることは避けられません。問題は、このばい菌が傷口の中で増殖することです。これに対して抗生物質(いわゆる化膿止め)を処方してありますので症状の有無にかかわらず、なくなるまで必ず飲んでください。

 麻酔は1~2時間程度でだんだん切れます。効いている間は、唇まで感覚を失っている場合があり、誤って噛まないように注意しましょう。食事はその後にとってください。食事をしないほうが抵抗力が落ち、ばい菌に悪さをされ易くなります。食べたくないときは、カロリーメイト(R)やウイダーインゼリー(R)などで構いませんから必ず栄養をとってください。傷口にある白いブヨブヨした物は止血剤です。時間をかけて溶けてゆきますから無理に取らないで下さい。また、早く綺麗に治るように傷口は糸で寄せていることがあります。この糸は自然には溶けませんから術後1~2週間で取りにきてください。それ以上は逆にばい菌の巣になってしまいます。

 傷口が新しいうちは、痛みが出る可能性が高いです。極端に熱い物や、辛い物は痛みを増幅させますので避けるようお願いいたします。痛み止めで対処される場合は、飲んでから効果が現れるまでに30~45分ほどかかります。痛み止めは多かれ少なかれ胃を傷めますので指定以上の量を飲まないで下さい。また、間隔は出来るだけ8時間ほど空けてください。

 下あごの深い親知らずを抜いた後は、噛んで頂いたガーゼとは別に、腫れの防止を目的に傷口からガーゼが出ています。これはこちらで取りますので、無理に引き抜かないようにしてください。